家計の節約・資産形成を考えている人ならば、一度はファイナンシャルプランナーという職業を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
今やファイナンシャルプランナーは、資格ランキングで上位にランクインするほどの人気資格です。
でも、資格の内容は?どんな仕事をするのか?と聞かれると明確に答えられる人は多くありません。
将来のライフプランのことを相談したいけれど、ファイナンシャルプランナーの仕事内容はどのようなものか?と思っている人から、資格を取りたいので資格制度や仕事内容を詳しく知りたい人まで、皆さんが全貌をよく理解できるようにファイナンシャルプランナーという職業に切り込んで、わかりやすく解説していきます!
ファイナンシャルプランナーとは?
ファイナンシャルプランナーを簡単に説明すると
・家計や老後の生活プラン
・資産運用の形成
・税金や相続
などのお金に関するライフプランのアドバイザーのことです。
お金に関するライフプランの専門家であるため、年金、税金、投資、不動産、相続、保険などの幅広い知識が必要となります。
ファイナンシャルプランナーに頼まずに、自分だけでライフプランを計画することを考えている人もいるかもしれませんが、終身雇用制の崩壊、金融制度の変革、高齢化社会の進行など、生活環境が急速に変化して不安定な時代になってきています。
以前のように国が守ってくれるという社会環境ではなくなってきており、自分の身は自分で守る必要が高くなっているからこそ
専門知識を有するライフプランナーに相談して、自分に合った適切なライフプランを計画する必要があります。
ファイナンシャルプランナーを英語で表記すると、Financial Plannerとなります。
略するとFPですが、、ファイナンシャルプランナーを示すときに良く使われる表記です。以降ではファイナンシャルプランナーのことをFPとして表記します。
誕生の背景や歴史をひも解いてみる!
FPは1930年代の米国において、保険外交員が商品を売るために活用したことが原形であるといわれています。
その後、1969年に国際FPという業界団体が設立され、金融の自由化に伴ってFP制度が確立していきました。
日本においても1970年代に入って、金融取引会社などがFPの手法を取り入れ始めましたが、導入するところは少数派だったようです。
日本で定着してきたのは金融の自由化が進んできた1980年代後半だといわれており、FPの民間資格を認定する日本FP協会(注1)が1987年に設立されています。
また、FPの公的資格を実施する社団法人金融財政事情研究会(注2)が1988年にFPセンターを設立し、「金融渉外技能審査」を実施することになります。
以降では社団法人金融財政事情研究会を金財Cと表記します。
その後、日本FP協会は1993年にCFP(注2)の試験を開始し、1999年にAFP(注3)の試験を開始します。
また、2002年に職業能力検定から「金融渉外技能審査」がなくなり、国家検定として「ファイナンシャル・プランニング職種」が追加され、国家資格として「ファイナンシャル・プランニング技能士」の誕生となりました。
ファイナンシャル・プランニング技能士のことをFP技能士と表記されることが多く、以降ではファイナンシャル・プランニング技能士のことをFP技能士として表記します。
※注1:「特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会」の前身組織にあたります。表記しやすいため、以降でも日本FP協会のままの表記にしています。
※注2:Certified Financial Plannerの略、日本FP協会が認定する普通資格のことです。
※注3:Affiliated Financial Plannerの略、日本FP協会が認定する上級資格のことです。
これであなたも資格の中身が完全に理解できます!
FPの資格としては国家資格である「FP技能士」(1~3級)日本FP協会認定の民間資格である「AFP」、「CFP」があります。
「FP技能士」(1~3級)と「AFP」、「CFP」は関連性が高く、例えば2級FP技能士に合格すると手続きをするなどによってAFPを取得できます。
また、FP技能士の試験のうち1級の学科試験以外は金財C以外に日本FP協会で実施されたりしています。
国家機関と民間機関が補い合ってFPの資格制度を推進していることが、他の資格と違ってFPの資格制度のユニークなところです。
FP技能士
FP技能士は1~3級までの3段階に分かれており、3級 → 2級→ 1級の順に専門知識・難易度が高くなっていきます。
FPの試験は学科試験と実技試験があり、必ずしも3級から順番に取得する必要はありません。
受験資格を備えていれば、1級からでも受験することが可能です。
また、FP技能士は一度合格すれば資格の有効期限はないため、資格の更新などを行う必要はありません。
FP技能士の受験資格は下記のとおりです。
受験資格 | |
1級(学科) | ・2級の合格者で、かつ1年以上の実務経験を有する者 ・5年以上の実務経験を有する者 ・金融渉外技能審査2級の合格者で、かつ1年以上の実務経験を有する者上記3項目のうち いずれかであること |
1級(実技) | ・1級学科試験の合格者(有効期限:翌々年度の3月まで) ・CFP認定者 ・CFP資格審査試験の合格者 ・金財のFP養成コースの修了者上記4項目のうち いずれかであること |
2級(学科・実技共通) | ・3級の合格者 ・2年以上の実務経験を有する者 ・日本FP協会認定のAFP認定研修を修了した者 ・金融渉外技能審査3級の合格者上記4項目のうち いずれかであること |
3級(学科・実技共通) | FPの業務に従事している者、又は従事しようとしている者 |
1級は学科試験と実技試験を同日に受験することはできません。
2級と3級は学科試験と実技試験の同日での受験が可能です。
また、2級と3級の学科試験と実技試験は必ずしも同日に受験する必要がなく、
一方の試験のみを受験して
残りの一方を後日に受験することが可能です。
学科試験
学科試験の出願範囲は1~3級で共通しており、下記の6分野からの出題となります。
・ライフプランニングと資金計画
・リスク管理
・金融資産運用
・タックスプランニング
・不動産
・相続、事業承継
学科試験の内容は下記のとおりです。
出題方式 | 試験時間 | 合格ライン | 実施団体 | |
1級 | マークシート方式:50問(4択) 記述方式5題 | マークシート方式:150分 記述方式:150分 | 120点以上 (満点200点) | 金財C |
2級 | マークシート方式:60問(4択) | 120分 | 36点以上 (満点60点) | 金財C 及び 日本FP協会 |
3級 | マークシート方式:60問(3択) | 120分 | 36点以上 (満点60点) | 金財C 及び 日本FP協会 |
学科試験の合格率は
1級:10%前後
2級:20%~40%程度
3級:60%~80%程度
というデータが出ています。
また、金財Cより日本FP協会での受験の方が、高い合格率を示すとのデータもありますが、2級と3級の学科試験は金財Cと日本FP協会で同じ問題を出しています。
合格率の違いが示す理由として金財Cより日本FP協会の方が、FPに対するサポートを積極的に行っており、
FPに対する意識が高い人は、日本FP協会で受験する傾向が高いことを示しています。
尚、受験料は、
1級:8,900円
2級:4,200円
3級:3,000円
となっています。
実技試験
実技試験は1級~3級の各々でいくつかの選択科目が設けられており、そのうちの1つを選択して受験することになります。
実技試験の内容は下記のとおりです。
選択科目 | 出題方式 | 試験時間 | 合格ライン | 実施団体 | |
1級 | 資産相談業務 | 設例課題に基づく 面談方式の口述方式:2回 | 330分 | 120点以上(満点200点) | 金財C |
資産設計提案業務 | 事例形式に基づく 択一・語群選択・記述方式:2題 | 120分 | 60点以上 (満点100点) | 日本FP協会 | |
2級 | 個人資産相談業務 | 記述方式:5題 | 90分 | 30点以上(満点50点) | 金財C |
中小事業主資産相談業務 | |||||
生保顧客資産相談業務 | |||||
損保顧客資産相談業務 | |||||
資産設計提案業務 | 日本FP協会 | ||||
3級 | 個人資産相談業務 | 記述方式:5題 | 60分 | 30点以上(満点50点) | 金財C |
保険顧客資産相談業務 | |||||
資産設計提案業務 | 日本FP協会 |
実技試験の合格率は
1級:約80%~90%
2級:約30%~60%
3級:約60%~90%
というデータが出ています。
学科試験と同じように1級~3級の全体的に金財Cより日本FP協会での受験の方が、高い合格率を示すとのデータもあります。
学科試験と違って選択科目によって、金財Cか日本FP協会での受験となるため
選択科目である「資産設計提案業務」が、合格しやすい科目であることを示しているようにも思えますが、受験者の意見を確認してみると「資産設計提案業務」が他の選択科目より必ずしも合格しやすい科目ではないとのことです。
2級や3級の実技試験も学科試験と同じように、FPに対する意識が高い人が日本FP協会で受験する傾向が高いようです。
1級の実施試験は金財Cと日本FP協会とで選択科目の違いに加えて、出題方式や試験時間の違いも大きく影響しているようです。
日本FP協会での実技試験では、合格率が90%以上であることも多いのに対し、金財Cでの実技試験では合格率が80%前後であるとのデータが出ています。
尚、受講料は
1級(実技):25000円(資産相談業務)、20000円(資産設計提案業務)
2級(実技):4500円
3級(実技):3000円
となっております。
AFPとCFP
日本FP協会が認定する民間資格は、AFPとCFPの2段階に分かれています。
AFPは2級FP技能士と同じレベルに位置すると認識されています。
AFPは2級FP技能士に合格すると、日本FP協会が認定する研修を受講して登録手続きをすれば取得することができます。
尚、税理士や公認会計士の資格を有する場合は、2級FP技能士に合格しなくても日本FP協会が認定する研修を受講して登録手続きをすればAFPを取得することができます。
CFPはAFPより高度なレベルに位置すると認識されています。
また、AFPが日本国内で認定されるFPの資格であるのに対し、CFPは世界24カ国で導入されており、世界で認定されるFPの資格となります。
CFP資格審査試験の受験資格は
AFPの資格を取得して登録していることです。
CFP資格審査試験の内容は下記のとおりです。
試験科目 | 出題方式 | 試験時間 | 合格ライン | |
CFP | 金融資産運用設計 | マークシート方式:50問(4択) | 120分 | 競争試験であるため、受験者全体の上位の一定割合を合格としています。合格者は、受験者全体の約30~40%に設定されるようであり、それに基づいて合格ラインが決まってきます。試験科目毎に合格ラインが変わってきますが、6科目全部が合格ラインを満たすことにより、CFP資格審査試験に合格となります。 |
不動産運用設計 | マークシート方式:50問(4択) | 120分 | ||
ライフプランニング・リタイアメントプランニング | マークシート方式:50問(4択) | 120分 | ||
リスクと保険 | マークシート方式:50問(4択) | 120分 | ||
タックスプランニング | マークシート方式:50問(4択) | 120分 | ||
相続・事業承継設計 | マークシート方式:50問(4択) | 120分 |
CFP資格審査試験の合格率は約30%~40%というデータが出ています。
CFP資格審査試験は一度に6科目全てを合格する必要はなくAFPの資格を有していれば合格した科目の履歴は期限なく有効となります。
但し、6科目全てに合格した場合には、CFPの登録申請の登録期限が6科目の合格後から5年以内となります。
尚、AFPとCFPはFP技能士とは違って資格の有効期限があり、2年毎にAFPは15単位、CFPは30単位以上を取得することが更新の条件となります。
また、CFP資格審査試験の受講料は、
1科目の場合:5,400円
2科目の場合:9,720円
3科目の場合:14,040円
4科目の場合:18,360円
5科目の場合:22,680円
6科目の場合:27,000円
AFPとCFPは維持費が下記のように必要となってきます。
・AFP
・年会費(年間):12000円
・継続教育のための費用(2年間):4000円~20000円
・CFP
・年会費(年間):12000円
・継続教育のための費用(2年間):8000円~40000円
活躍の場を探ってみる!
FPの活躍の場は大きく分けると下記の2つに分類されます。
・独立・開業系
・企業系
独立・開業系はFP事務所を経営し、ライフプランニングの相談が主な収入源となっていることが多く、
他にはFPに関する講師や雑誌などへの原稿執筆などを収入源とするFPもいます。
平均年収は約300万円といわれていますが、1000万円を超えるFPもいる一方で、100万円を満たないFPも少なくありません。
活躍しているFPはFP技能士の資格を1級か2級を持っている人がほとんどあり、AFPかCFPのいずれかも併せて持っているケースが多いようです。
肩書も大事な要素であり、顧客からの信用度も高まるということになります。
但し、資格を持っているだけで活躍できるほど甘い世界ではなく、高い年収を有しているFPは営業力に優れたり優れたライフプランニングを提案できるような企画力も兼ね備える必要があります。
企業系は銀行・信用金庫・証券会社・保険会社などの金融機関や、不動産会社などに勤務するが多く、会社員として働いているため、平均年収も通常のサラリーマンと同様に約300万円~600万円といわれています。
資格を有することによって企業内でのキャリアーアップに繋がることがあり、そのためにFPの資格を保有するケースが増えてきています。
求められる資格も様々ですが、3級FP技能士では十分ではないと見なされることが多く、取得しやすいこともあって2級FP技能士を保有するケースが増えています。
また、企業側が更新料を払ってくれる場合にはAFPかCFPのいずれかを持つケースもあるようです。
また、仕事としてFP活動は行わないものの自分のライフプランを適切に計画するためにFPの資格を取得するケースも増えてきています。
まずは、自分のライフプランの計画を考えるところからはじめて、慣れてきたら仕事としてFP活動を行うということも考えられます。
興味がある方はFPの資格取得を目指してみて下さい。
FPは人気資格であり、多くの受験機関で講座を設けているケースが多いので、ご自身に適した勉強をすれば短期間で合格することも十分可能です。
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