56万人だけが持つ資格「管工事施工管理技士」を詳しく解説

近年の日本は、不景気で職を失う人が多いようです。

リストラや担当から外されたり、自分が描いていた未来ではなかったと悩んでいる方も多いです。

そんな不景気関係なく、国からも認められる仕事があります。

あなたは自分の仕事で認められたいと、思ったことはありませんか?安定した依頼があるそんな仕事を考えた事はありませんか?

今回ご紹介するのは「管工事施工管理技術士」です。

私たちが生活する家や会社、施設などは見えない配管が沢山あります。管とは壁の中に入っていて見えない部分です。

この配管は私たちが生活する中で、様々なところに使われています。

例をあげると、冷暖房、空調、ガス配管、給油設備、浄化槽、衛生設備などがあります。

この時点で私たちが使っているほとんどの物に配管が通っていることがわかります。

建設業界になくてはならない管工事施工管理技士の資格

建設業界は常に人手不足です。

金融危機勃発直前の2006年9月に、人手不足のピークを迎えました。

2009年10月のリーマンショックで建設業に危機が訪れましたが、現在は徐々に回復の兆しがあるようです。ですが、東日本大震災の2011年3月11日の数ヶ月後から復興需要に合わせる形で、また深刻な人手不足に陥りました。

情勢の変化が2012年冬にあり、2013年9月には東京オリンピック開催が決定し、また建設業界は人手不足に陥っています。

消費税増税問題で家が建てたい人のかけこみ需要の発生も、人手不足に拍車をかけています。

今までの傾向を見ると、個人や政府からも必要とされているのはわかります。

「仕事はあるけど、人が足りていない。」というのが現状です。

年代別に調べてみると、50代以降は変わりない状況ですが、20代・30代の若者の世代が半減してしまっています。

この状況から高年齢者層の引退に伴い、これから益々不足していくことが予想されます。

建設業界の最大のピンチの状態です。

そんな建築業人手不足の中、重要なのが「管工事施工管理技士」の資格を持った人なのです。

管工事施工管理技術士は、施工管理技士の国家資格の一つです。

区分は1級・2級があります。国家資格ですので、年1回の試験に合格した方が得られる資格です。

主にどんな仕事をするかというと、冒頭に説明しましたが再度説明します。建設業のうち、配管に関する仕事がメインです。

主に冷暖房設備工事、空調設備工場、給排水・給湯設備工事、ダクト工事(空調や換気で気体を運ぶ管のこと)、浄化槽工事、ガス配管工事、衛生設備工事などの仕事をしています。

管工事はわたしたちの生活する中で重要な役割を果たしています。生活する中でなくてはならない部分です。

人でいうならば、手足を動かすための血管や筋肉と言えます。

知らなかった…営業所に最低一人は必要な専任の技術者

ここでなぜ建設業界になくはならない存在なのか?と疑問に思う方も多いと思います。

管工事自体は、この資格がない人でも行えるからです。

実際の現場で働いている人は、ほとんどが無資格ですが、無資格では絶対にできない仕事もあります。

管工事において施工計画を作成し、工程管理、品質管理、安全管理を行う場合は「管工事施工管理技士」の資格が絶対条件です。

そして、新しく建設業の事務所や営業所を開設した時に必ず、「管工事施工管理技士」の資格を持ったものが必要なのです。

建設業法により特定建設業の営業所に置かなければならないという建設業法があります。

専任の技術者や、工事現場ごとに置かなければならない主任技術者および監理技術者になることができます。

管工事施工管理技士は、この中の専任の技術者に値します。

だからこそ、建設業界には管工事施工管理技士の資格を持つ人もしくは管理技術者を必要としています。

全国約56万人しか持っていない国家資格の需要

実はこの管工事施工管理技士は、平成27年3月末時点で全国でも562,770人しか持っていない資格です。

1級・2級合計で約56万人しかもっていない資格だということがわかりました。

地域的に見ても、

北海道地方で26,744人。東北地方で46,563人。
関東地方で178,902人。北陸地方で27,244人。
中部地方で57,689人。近畿地方で89,196人。
中国地方で40,161人。四国地方で19,000人。
九州地方で68,125人。沖縄地方で9,144人。
一番少ないのは徳島県の3,600人

でした。

一番多いところが大阪で35,007人でした。

これは1級・2級の合計での人数なので少ないことがわかります。

1級資格をもっている人は、平成27年3月末で176,708人。2級資格は、386,062人です。

希少な資格ですが合格率は高いです。平成27年度の1級学科試験は51.2%。実地試験は50.1%。2級学科試験は57.9%。実地試験は45.9%でした。

2人に1人は受かるということです。

国家資格にしては、合格率は高めな資格です。

施工管理技士の中では、建築よりも易しく電気よりも難しいという位置付けになります。

一級建築士で、合格率が5%〜10%なのでまだ資格としては取りやすいということが比較してわかります。

需要としては、やはり資格を持っている人が少ないようです。

新しく建設業の事務所や営業所を開設した時に必ず「管工事施工管理技士」の資格を持った人が必要です。

特定建設業および一般建設業の許可基準である営業所の専任の技術者になれるということです。

建設工事の現場に配置されることが多い監理技術者や主任技術者になることもできます。

この中でも指定建設業の特定建設業においては、営業所の専任の技術者と監理技術者だけが、1級の施工管理技士の国家資格者に限定されます。

そのために会社の内部においては、この資格をもっている社員は特別な手当を受けることができます。

資格取得のために、会社から補助を受けたり、試験の日には会社を有給扱いで休むことができたりするところもあります。

将来のステップアップのためにも良い資格です。

法律で定められているものなのでこれからも需要は減ることはないでしょう。

資格の保有者は社会保険労務士の受験資格が得られます。

さらに、1級管工事施工管理技士の資格及び、2年の実務経験があれば、建築設備士試験を受験できるのです。

やりがいのある仕事をしたい方にとてもオススメです。

ここで注意すべきところがあります。

一級と二級ではやれることが違うのです。

管工事施工管理技士資格

どちらかをとっておけば良いという訳でもありませんので詳しく見ていきましょう。

1級管工事施工管理技士と2級管工事施工管理技術士の資格の違い

1級管工事施工管理技士は、建設業法より特定建設業の営業所に置かなければならない専任の技術者や、工事現場ごとに置かなければならない主任技術者および監理技術者になることができます。

監理技術者であり続けるためには更新が必要です。

2級管工事施工管理技士は、建設業法による一般建設業の営業所の専任技術者や、工事現場における主任技術者となることができます。

このようなことから、仕事内容が1級、2級で違うことがわかります。

1級のメリットがもう一つあります。

特定建設業の許可を得るためには、1級の施工管理技士が専任技術者である必要があります。

「元請工事を下請けに依頼して施工する場合、その下請け代金が4500万円以上になる工事を請け負うことができる」と法律で定められているからです。

2級では特定建設業での専任技術者になれません。

自分の下請けや仕事内容に合わせて選ぶ必要があります。その部分をしっかりと調べておく必要があります。

わたしのオススメはやはり1級資格ですが、2級の後に1級という方も多いことがわかりました。

では、どのような試験が待っているのでしょうか?次の項目では試験に関することを説明していきます。

資格をとるための道のり

みなさんこれまで読まれていて、仕事の内容はわかってきたと思います。

この国家資格という点から難しく感じられる方が多くいます。まずは、受験資格があるかを確認していきましょう。

まずは、1級です。大きく分けて4つの項目があります。

⑴ 学歴+実務経験年数のみ
⑵ 2級管工事施工管理技術検定合格者
⑶ 専任の主任技術者の経験が1年以上ある者
⑷ 指導監督的実務経験年数が1年以上、及び主任技術者の資格要件成立後専任の監理技術者の設置が必要な工事において当該監理技術者による指導を受けた実務経験年数が2年以上ある者

それぞれ詳しく見ていきましょう。

大学卒業、専門学校「高度専門士」

「高度専門士」とは、4年制の専修学校専門課程のうち一定の要件を満たした学校が卒業生に対して授与する称号です。

指定学科卒業後の方は、3年以上の実務経験が必要です。

指定学科以外卒業後の方は、4年6ヶ月以上の実務経験が必要です。

短期大学、高等専門学校、専門学校「専門士」

「専門士」とは、2〜3年間の中で一定の要件を満たす専修学校の専門課程を修了した者に授与される称号のことです。短大や専門学校と同様の扱いになります。

指定学科卒業後の方は、5年以上の実務経験が必要です。

指定学科以外卒業後の方は、7年6ヶ月以上の実務経験が必要です。

高等学校、専門学校(高度専門士、専門士以外)

指定学科卒業後の方は、10年以上の実務経験が必要です。

指定学科以外卒業後の方は、11年6ヶ月以上の実務経験が必要です。

その他(1〜3に該当しない人)

15年以上の実務経験が必要です。

⑴-1〜⑴-4は、上記実務経験年数のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていることが必要です。

2級合格後の実務経験、5年以上。

合格後5年未満で、尚且つ高等学校、専門学校(高度専門士、専門士以外)

指定学科卒業後の方は、9年以上の実務経験が必要です。

指定学科以外卒業後の方は、10年6ヶ月以上の実務経験が必要です。

※高等学校の指定学科以外を卒業した者には、高等学校卒業程度認定試験規則(平成17年文部科学省令第1号)による試験、旧大学入学試験検定規程(昭和26年文部省令第13号)による検定、旧専門学校入学者検定規程(大正13年文部省令第22号)による検定又は旧高等学校高等科入学資格試験規程(大正8年文部省令第9号)による試験に合格した者を含む。

その他(1〜2に該当しない方)

15年以上の実務経験が必要です。

⑵-1〜⑵-3は、上記実務経験年数のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていることが必要です。

2級合格後の実務経験

合格後、1年以上の専任の主任技術者実務経験を含む3年以上の実務経験が必要です。

2級合格後、3年未満。

短大、高等専門学校、専門学校(専門士)7年以上の実務経験が必要です。

高等学校、専門学校(高度専門士、専門士以外)、指定学科卒業後の方は、7年以上の実務経験が必要です。

指定学科以外卒業後の方は、8年6ヶ月以上の実務経験が必要です。

その他は、12年以上の実務経験が必要です。

2級資格のない方、尚且つ高等学校、専門学校(高度専門士、専門士以外)

指定学科卒業後の方は、8年以上の実務経験が必要です。

指定学科以外卒業後の方は、11年以上の実務経験が必要です。

高等学校の指定学科以外を卒業した者には、
高等学校卒業程度認定試験規則(平成17年文部科学省令第1号)による試験、
旧大学入学試験検定規程(昭和26年文部省令第13号)による検定、
旧専門学校入学者検定規程(大正13年文部省令第22号)による検定

または、旧高等学校高等科入学資格試験規程(大正8年文部省令第9号)による試験に合格した者を含む

職業能力開発促進法による2級配管技能検定合格者、給水装置工事主任技術者は、9年6ヶ月以上となります。

その他(該当しない方)
13年以上の実務経験が必要です。

2級合格後の実務経験年数が3年以上。

3年以上の実務経験のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数を含み、かつ、専任の監理技術者による指導を受けた実務経験年数2年以上を含む

2級管工事の資格がない者

高等学校、専門学校(高度専門士、専門士以外)の指定学科卒業8年以上の実務経験が必要です。

8年以上の実務経験のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数を含み、かつ、5年以上の実務経験の後、専任の監理技術者による指導を受けた実務経験年数2年以上を含む

1級は細かく分かれていますので、自分がどこに当てはまるか間違えないようにしましょう。

2級に関しては、細かくはないので受験しやすいです。

大学、専門学校(高度専門士)

指定学科卒業後の方は、1年以上の実務経験が必要です。

指定学科以外卒業後の方は、1年6ヶ月以上の実務経験が必要です。

短期大学、高等専門学校、専門学校「専門士」

指定学科卒業後の方は、2年以上の実務経験が必要です。

指定学科以外卒業後の方は、3年以上の実務経験が必要です。

高等学校、専門学校(高度専門士、専門士以外)

指定学科卒業後の方は、3年以上の実務経験が必要です。

指定学科以外卒業後の方は、4年6ヶ月以上の実務経験が必要です。

その他

8年以上の実務経験が必要です。

実務経験がクリアしていれば、受けられるというなんといい条件です。

是非、この機会に受験できるのであれば資格を持っていることで今のお仕事にいかすことができるのです。

この後、過去問なども見ながら学科試験では80〜90%クリアできることを目指すと受かりやすいとのことです。

学科試験、実地試験の2つに分かれています。

<1級の場合>
■学科試験について
【試験時間】午前の部:2時間30分、午後の部:2時間
【解答形式】全問 四肢択一式
【出題数・解答数】出題数73問、うち60問を選択して解答
【配  点】1問1点、60点満点

■実地試験について
【試験時間】2時間45分
【解答形式】全問 記述形式
【出題数・解答数】出題数6問、うち4問を選択して解答

<2級の場合>
■学科試験について
【試験時間】2時間10分
【解答形式】全問 四肢択一式
【出題数・解答数】出題数52問うち40問を選択して解答

■実地試験について
【試験時間】2時間
【解答形式】全問 記述形式
【出題数・解答数】出題数6問うち4問を選択して解答

学科試験は機械工学、施工管理法、法規の試験。

実地試験には施工管理法の試験が含まれます。

学科試験は択一式で、実地試験は記述式になるのです。

学科試験、実地試験とも60%以上の正解率で合格になります。

また、実地試験では実際に施工した現場に関する記述式の問題も出ます。

実地試験は、2級の場合は同日に行われますが1級は学科試験の合格者のみに実施されます。

学科試験に合格し、実地試験に不合格だった場合は翌年だけ学科試験が免除になるのです。

ですから、1年目に惜しく実も地だけ不合格だったという場合は、翌年頑張りましょう。

翌年も不合格だった場合は、また学科試験から受け直さなければなりませんので、注意してください。

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