損害保険会社は就職の人気ランキングにおいて、大手の損害保険会社が上位にランクインするほどの人気職種です。
人気が高い理由として社会的な評価が高いことや、他の職種と比べて給料が高いことなどが挙げられています。
多くの人が働きたいと思っている損害保険会社ですが、仕事内容として最も大きなウェートを占めているのが営業の仕事であり、損害保険の仕事を行うにあたって営業の仕事内容を知っておくことは大変重要なことになります。
今回は損害保険会社で働きたい人が、損害保険会社の営業の仕事内容を良く理解できるように、わかりやすくお伝えしていきます。
損害保険会社の営業部門の組織体系
損害保険会社は主に営業部門と業務部門から成り立っています。
営業部門は損害保険を販売するための営業業務を行っているのに対し、業務部門は営業部門を後方から支援するために損害調査などを行っています。
営業部門はリテール営業と法人営業に分けられますが、その違いは損害保険の販売先が個人か法人かの違いです。
販売先が個人であるためリテール営業のことを個人営業と呼ぶこともあります。
リテール営業
リテール営業は個人のお客様に対して、自動車保険、火災保険、傷害保険などの損害保険を販売するのが仕事ですが、実際の販売方式は損害保険会社ごとに異なります。
販売方式として
・代理店扱い方式
・直扱い方式
・仲立人扱い方式
があります。
代理店扱い方式
代理店扱い方式は代理店に委託して、個人のお客様相手に損害保険を販売する方式であり、
現在、老舗の大手損害保険会社をはじめとして、リテール営業の9割以上が代理店扱い方式を取っているといわれています。
損害保険会社の営業の仕事として、代理店に対する営業指導や新規代理店の開拓などを行います。
代理店は小規模なところが多く、人材の入れ替わりも頻繁であるため、代理店の経営事業や人材育成などのコンサルタントも損害保険会社の営業の仕事として大切なものになってきます。
代理店の業績が伸びないと自分の営業成績も伸びていかないため、代理店とWin-Winの関係となるように信頼関係を構築することが大切です。
直扱い方式
直扱い方式は損害保険会社の営業員が、個人のお客様相手に損害保険を販売する方式です。
損害保険会社の営業員が代理店を介さずに、個人のお客様に対して契約を結ぶなど直接取引を行うことが仕事内容となります。
最近は直扱い方式として、電話やネットによる通信販売の方式が増えてきています。
営業にかかるコストを削減できることから、外資系などの新規参入組などが通信販売方式を行うケースが多いようです。
仲立人扱い方式
仲立人扱い方式は生命保険会社との業務提携による相互に販売する方式です。
1996年に行われた改正保険業法により可能となり、販売チャンネルを増やすやり方として増加傾向にあります。
法人営業
法人営業は担当する法人やその関連企業などに対して、損害保険を販売するのが仕事です。
取り扱っている損害保険としてはその法人で働いている従業員の傷害保険や施設にかけられる保険など、企業活動のリスクに関わる多岐のものにおよびます。
担当する法人によっては年間の保険料が数十億円から数百億円になることもあり、損害保険会社の中でも重要性が高い花形部門となっています。
法人営業は営業全体の10%ぐらいの少数精鋭で行われているところが多いようですが、最近は法人営業を強化している損害会社が増えています。
それぞれの損害保険会社が法人営業経験者に対して中途入社での積極的な受け入れを行っているようです。
法人営業は担当する法人の業界動向を的確に掴み、起こり得るリスクに対して損害保険の提案、販売を行うと共に資産や財務もチェックしてリスクを未然に防ぐためのコンサルタントも行っています。
このように法人営業の仕事は、様々な知識が必要であると共に仕事量も多いため長時間勤務となることがあります。
待遇・現状を徹底的に説明
損害保険会社の平均年収をみると、損害保険会社は800万円を超えているなどの好待遇であり、大手の損害保険会社の中には1,000万円を超えているところもあります。
特に営業の仕事というのは成果がはっきりするということもあって、活躍の度合いが給料に反映されやすい傾向にあり、30代で1000万円以上もらう人も少なくありません。
リテール営業と比べて法人営業は数十億などの保険料を取り扱っており、業務も多忙ということもあってより年収が高くなる傾向にあるようです。
大手の損害保険会社と中堅の損害保険会社の年収の差は入社時はそれほどの差はありませんが、30歳を超えるころから大きく差が出てくる傾向にあるようです。
また、外資系は実力主義であって成果が報酬に反映されるため、年収が2000万円以上となるケースも出てきています。
中堅の損害保険会社に入って実力をつけた人が待遇改善を求めて大手や外資系に転職するということも良く見受けられます。
損害保険会社は業績も良く給料も高いため安定した生活を送ることができる反面、仕事が多忙であり長時間勤務なりがちだといわれています。
実際に損害保険会社に勤務している人の状況を確認すると、残業時間が月30時間を超える場合も多いようです。
もちろん、損害保険会社によって異なってきますし、個人営業や法人営業かによっても異なってきます。
法人営業は個人営業と比べても残業時間が多くなりがちですし、休日出勤を行うケースもあるようです。
但し、現在はコンプライアンスが厳しくなってきており、サービス残業などの不当な勤務を要求されることはありません。
自分が入社したいと思っている損害保険会社の勤務状況を知りたい人は「○○損害保険会社 勤務状況」などのキーワードでネット検索すれば調べることができます。
トップ営業マンになるための3つの要素
損害保険会社の営業の仕事は成果がはっきりするので、活躍すればするほど給料に反映されます。
ここでは、損害保険会社の営業マンとして活躍するために必要な、3つの要素を記載します。
コミュニケーション力
どのような業界でも営業の仕事は、コミュニケーション力が必要であるといわれますが、損害保険という目に見えない商品を扱うからこそより一層コミュニケーション力が重要となってきます。
損害保険会社の営業の仕事はお客様や代理店の人と電話や対面で話をすることが多いため、人付き合いが不得手な人には勤まらない仕事です。
お客様にとっては事故などが発生したときにはじめて損害保険を実感することになるため、相手がイメージしやすいように損害保険の内容を説明できなければいけません。
説明用の資料なども相手にわかりやすく作成する必要がありますし、代理店の成績を上がられるように育成するためのコンサルティング能力も求められます。
また、損害保険は自動車保険、火災保険、傷害保険など様々な商品があり、それに対応するために1人で全てを理解して対応することには限界があります。
そのため、代理店を含めて周りの人とコミュニケーションを図ってお互いに協力しながら仕事を進めることが大事になります。
できる営業マンほどコミュニケーションを大事にしており普段からより良い人間関係を構築しています。
精神的・体力的なタフさ
事故が起こるとすぐに対応する必要があるため、急な残業が入るなど労働時間が長くなる傾向にあります。
そのため、損害保険会社の営業の仕事は精神的にも体力的にもタフな人が向いています。
損害保険会社が新卒を採用する際には精神的・体力的なタフな人間を採用するために体育会系の人を好んで採用する傾向があるようです。
損害保険は定められたルールの中で対応するしかないため、お客様の希望を全て叶えてあげることは不可能ですが、保険金支払いなどの際に処理がスムーズに進まないこともあり得ます。
相手からの話を黙って聞くような忍耐強さも必要ですし、誤解がある場合は納得してもらうように説明する粘り強さも必要です。
優秀な営業マンになるためには粘り強く相手と会話をできる精神的なタフが必要となります。
また、損害保険会社の営業の仕事は様々な人と協力して仕事を行う必要があるため、自ら積極的に行動する行動力や周りの人を引っ張っていくようなリーダーシップも求められています。
優秀な営業マンは自分だけではなく周りも巻き込んで、高い目標に果敢に取り組むチャレンジ精神を兼ね備えています。
勤勉さ・役立つ資格
損害保険会社で営業の仕事をはじめたときには、マニュアルを見たり研修などで習ったりしながら保険用語を覚えていくことになります。
しかし、保険用語は知識として覚えるだけでは不十分であり、実際に現場で使いこなせなければ意味がなく、自分の頭で考えながら現場で実践経験をたくさん積んでいくことが必要です。
また、損害保険は数年に1度の割合で内容が変わることがあり、以前の補償内容との違いなどをスムーズに説明できるように常に新しい知識を吸収しておくことが大切です。
経験を積んでも勉強を怠らないことが優秀な営業マンであるために必要なことです。
活躍している営業マンが保有している資格としてファイナンシャルプランナーが挙げられます。
比較的に取得しやすいことから、2級FP技能士(注1)やAFP(注2)の資格を保有している人は多いようですが、法人営業などのように相手の知識レベルが高い場合には、1級FP技能士(注3)やCF(注4)Pの資格を保有することが好ましいようです。
難易度の高い資格を保有しているほど、相手からの信頼も高くなる傾向にあるようです。
また、税に関する知識を身につけていることも、損害保険の仕事をやっていく上で有利に働くことがあり、優秀な営業マンの中には税理士の資格を保有している人もいるようです。
※注1:ファイナンシャルプランナーの国家資格であり、3段階のうち中位レベルに位置します。
※注2:Certified Financial Plannerの略、日本FP協会が認定するファイナンシャルプランナーの普通資格のことです。国家資格の2級FP技能士と同等のレベルとみなされています。
※注3:ファイナンシャルプランナーの国家資格であり、3段階のうち上位レベルに位置します。
※注4:Affiliated Financial Plannerの略、日本FP協会が認定するファイナンシャルプランナーの上級資格のことです。国家資格の1級FP技能士と同等のレaベルとみなされています。
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