事故・災害被害をジャッジする公平な第三の目「損害保険登録鑑定人」

事故・災害被害をジャッジする公平な第三の目「損害保険登録鑑定人」資格

毎日必ずどこかで起こる事故。

時に甚大な被害をもたらす自然災害。私たちの生活はいつもリスクと隣り合わせです。

交通事故は1日平均およそ1,300件も起きており、死亡事故となると、毎日10名もの方(「警察庁交通局交通企画課 交通事故統計(平成28年5月末)より」)が命を落とされています。

また災害においては、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災、2011年(平成23年)の東日本大震災のような甚大な被害をもたらした災害のみならず、豪雨による洪水・土砂崩れなど、大小様々な形で私たちの生活を脅かし続けています。

もし万が一、そうした被害にあってしまった時にあなたが頼りにするのは何でしょうか?

ほとんどの方が損害についての補償を期待するのは、安くない掛け金を払っている保険会社だと思います。でも、十分に満足のいく補償額が出ることはあまりないような気がします。

それは何故なのでしょう。

一体誰が、どうやって被害を調査し、損害額を決めているのか疑問に思ったことはありませんか?

そうした損害額の鑑定や、事故の状況調査などを専門に行う、保険会社とは異なる第三の存在が「損害保険鑑定人」なのです。

損害保険登録鑑定人について

生命保険契約と損害保険契約

生命保険契約の保険金支払い時においては原則、契約時に設定した一定額の保険金が支払われます。

一方、損害保険契約の場合は、その事故により発生した損害の額に応じて支払いが行われます。

その損害保険における損害の額を調査・算出するのが、損害保険鑑定人です。

損害保険鑑定人とは

損害保険鑑定人と一般的には呼ばれていますが、正しくは「損害保険登録鑑定人」が正式な名称です。

「損害保険の契約時」または「損害保険金の支払い前の段階」で、保険の対象となっている建物・動産の保険価額の鑑定や損害額の算出、事故原因・状況調査などを行う専門家です。

損害保険登録鑑定人の資格は、「一般社団法人 日本損害保険協会」が実施する認定試験に合格し、同協会に登録することで得ることができます。

鑑定業務自体は、認定試験に合格しなくても行うことができるのですが、保険会社が鑑定業務を委託する際、資格の有無を考慮しますので、認定試験に合格し、損保協会に登録して業務を行っている鑑定士がほとんどです。

損害保険鑑定人の役割

主な役割は次の通りです。

①支払い保険金を適正に算定する「損害鑑定」
②保険価額を適正に算定する「評価鑑定」
③中立・公平に業務を遂行する

損害保険鑑定人としての中立性

では、損害保険鑑定人として中立・公平に業務を遂行するとはどういうことなのでしょうか。

損害保険鑑定人は、損害保険会社からの委嘱を受けると、事故現場・災害地に足を運んで調査を行います。

損害保険鑑定人が行う損害額、被害額の算定は、保険金の支払いに大きな影響を与える非常に重責ある仕事です。

そのため、損害保険鑑定人はその業務の遂行に当たって、保険会社と被保険者のどちらにも偏ることなく、あくまで客観的な第三者的立場に立って、厳正・公平に対処することが求められているのです。

損害保険鑑定人として必要なスキル

①常に約款を深く理解し、その適用範囲を明確に理解する能力
②論理的に考える能力
③的確な表現をする能力
④正確な図面をとる能力と綿密な計算ができる能力
⑤コミュニケーション能力
⑥守秘義務能力
⑦体力
⑧仕事のバランス管理能力

損害保険鑑定人の年収

鑑定人のほとんどが鑑定事務所に属しています。

給与は「固定給」+「業績に応じた変動制」を採用している鑑定事務所が多く、全体の8割の鑑定人の年収は「およそ400~700万円ほど」と言われています。

また、独立して1 千万円以上稼ぐ鑑定人も存在します。

損害保険登録鑑定人認定試験について

資格種類

資格には、

(a)1級鑑定人
(b)2級鑑定人
(c)3級鑑定人

という3つの技能ランクがあります。

3級鑑定人に登録してから2級鑑定人へ、2級鑑定人に登録してから1級鑑定人へと、段階を経て上位資格へランクアップすることになります。

また、上記鑑定人の資格を有すると同時に、1級建築士や2級建築士など「損保協会の指定する公的資格」を併せ持つことによって、「専門鑑定人A」または「専門鑑定人B」として同時に登録することができます。

受験資格と合格率

まずは3級鑑定士の資格から得ることになりますが、受験の資格条件は特にありません。

ただし、暴力団や反社会勢力に関することについては、厳格に決められていますのでご注意ください。

受験時の各試験科目の難易度等によりますが、

1級は5~10%
2級は10~20%
3級は20~30%

と、統計的に見ることができます。あくまで一つの目安として考えてください。

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