「土木施工管理技士」の資格を知っていますか?
「土木施工管理技士」とは、
施工管理技士の区分は1級、2級であるので表記に注意する必要がある。(建築士は「一級建築士、二級建築士及び木造建築士をいう」と定義されており、数字ではない。)
東日本大震災以降、除染工事や造成工事などの復興工事で必置となる主任技術者や監理技術者になるために必須の資格であり、需要が急激に高まっている。
国家試験は年1回実施される(実施は一般財団法人全国建設研修センター)。
となっていますが、一般的にはまだあまり知られてはいないかもしれません。
しかし、「土木施工管理技士」は、社会的なステータスもあり、安定・高収入も得られる国家資格です。
「土木施工管理技士」は、いったいどんな仕事をするのでしょうか?どんな試験内容で、どんな受験資格が必要となる国家試験なのでしょうか?
そして、将来性は?そんな疑問にお答えします。
土木施工管理技士とは?
土木工事を施工する際に主任技術者、管理技術者になることが出来るのが土木管理施工技士という国家資格を持つ有資格者になります。
一般的に土木工事と考えられているものの中には指定建設業として法律で定められているものがあります。
指定建設業は、土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種となっており、この指定建設業においては、建設業法で定められた一般・特定建設業許可基準の一つとして、営業所ごとに専任の技術者、建設工事の現場に主任技術者及び監理技術者などの有資格者を置くことが建設業法で義務付けられています。
土木工事業(指定建設業),とび・土工工事業,石工事業,塗装工事業,鋼構造物工事業(指定建設業),舗装工事業(指定建設業),しゅんせつ工事業,水道施設工事業においては専任の技術者として1級土木施工管理技士を置くこと、更に、上記業種の建設工事においては主任技術者および管理技術者として1級土木施工管理技士を置かなければなりません。
また、一般建設業のうち土木工事業,とび・土工コンクリート工事業,石工事業,鋼構造物工事業,舗装工事業,しゅんせつ工事業、水道施設工事業に関しては2級土木施工管理技士「土木」を専任の技術者としておく必要があります。
上記業種の建設工事においても、主任技術者として2級土木施工管理技士の種別「土木」を置かなければなりません。
一般建設業のうち塗装工事業の選任の技術者として、及びその建設工事に当たっては主任技術者として、2級土木施工管理技士の種別「鋼構造物塗装」を置くこと。
一般建設業のうち、とび・土工・コンクリート工事業の専任の技術者として、当該業種の建設工事における主任技術者として2級土木施工管理技士の種別「薬液注入」を置くこと。
…となっています。
このように、営業所ごとに置く専任の技術者及び、建設工事の現場に置かなければならない監理技術者は、国家資格者等でなければならないことになっています。
土木管理施工技士の種類は?
国家資格である土木施工管理技士には、1級と2級があります。
1級土木施工管理技士と2級土木施工管理技士では、担当できる業務範囲も異なり、受験資格も検定の試験内容も異なっています。
1級と2級の大きな違いは、1級は現場を指揮する「監理技術者」となることができ、2級は作業工程ごとの責任者である「主任技術者」になることができる点です。
この2つの技術者は建設業法の規定によって営業所、工事現場ごとに置くことが義務付けられています。
もう少し詳しく説明すると、監理技術者とは特定建設業者が元請として工事を施工するために下請に請負代金総額3,000万円以上で発注した際、現場に専任で派遣しなければならない技術者のことです。
この請負総額が3,000万円未満であれば、現場には主任技術者を配置すればいいことになっています。
1級土木施工管理技士の場合は、すべての土木工事において、主任技術者、監理技術者のどちらとしても業務に当たることができます。
では、国家資格である土木施工管理技士は、具体的にどのような仕事、業務を行うのでしょうか?
具体的な業務内容は?
土木施工管理技士は河川、道路、橋梁など大規模土木工事において施工計画を作成し、現場においては工事に関わるさまざまな工程の施工管理を行う技術者です。
施工計画、設計図書や施工前の調査に基づいて工期を決め施工手順をまとめます。
工事が始まると各工事の作業工程、安全、品質、コストなどを管理、責任者となります。
その他、用地の確保、官公庁等の役所への諸手続き、書類の処理、周辺住民への説明・説得なども含まれます。
働く場所は、土木工事は河川、道路、橋梁、ダム、港湾、トンネル、埋め立て・干拓、鉄道、上下水道など多岐にわたります。
それぞれの工事現場、作業所、事務所になります。
会社や現場によっても仕事内容が異なり、工事中は現地のプレハブや近くの宿舎に泊まり込むことも珍しくありません。
大変な仕事ですが、工事が完成した時の達成感は他に代えがたいものがあるでしょう。
将来性は?
今も、どこかで、建築物が建造されていることでしょう。
それは、巨大なビルかもしれません。
橋が作られているのかもしれません。
しゅんせつ工事かもしれません。
道路工事かもしれません。
そして、それらの工事を進めていくのには土木施工管理技士が無くてはならないのです。
法律で義務づけられているのですから置かないわけにはいきません。しかし、現在、土木施工管理技士の有資格者が不足しています。
更に、東日本大震災以降、除染工事や造成工事などの復興工事のため、主任技術者や監理技術者になるには必須の資格である土木施工管理技士の需要が急激に高まっているというのが実情です。
日本において建設工事がある限り、土木施工管理技士の需要が無くなることはないわけです。
現在は慢性的な人手不足の状態で、最も「なり手」が求められている職種となっています。
収入は?
求人広告を見ると、
・正社員なら月収90万円
・派遣なら月収120万円
・ボーナス130万円
など、魅力的な数字が並んでいるのが見られますが、もちろん資格だけで給与が決まるわけではありません。
資格というペーパーを持っているだけではなく、仕事の経験、能力、勤続実績などが、勘案されて、年収1,000万円超も可能だというわけです。
それにしても、建設工事になくてはならない土木施工管理技士ですから、高給で有利に転職できるチャンスが多いのも納得できるというものです。
受験受講資格
土木管理施工技士は、誰でも受験できる資格ではありません。
1級、2級ともに受験資格を得るためには一定の実務経験が必要とされます。
必要とされる実務経験の期間は学歴により、また、専攻した科目によってもことなります。
1級土木施工管理技士技術検定「学科」試験受験者
学歴又は資格により(イ)(ロ)(ハ)(ニ)のいずれかに該当する者
(イ)学歴
学歴 | 実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | |
・大学 ・専門学校を卒業し「高度専門士」と称する者 | 3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
・短期大学・ 高等専門学校 ・専門学校を卒業し「専門士」と称する者 | 5年以上 | 7年6ヶ月以上 |
・高等学校 ・専門学校 | 10年以上 | 11年6ヶ月以上(※1) |
その他 | 15年以上 |
(ロ)2級土木施工管理技術検定合格者
区分 | 学 歴 | 実務経験年数 | |
指定学科 | 指定学科以外 | ||
2級合格後の3年以上の者 | 専任の監理技術者による指導を受けた 実務経験2年以上を含む3年以上 | ||
2級合格後の5年以上の者 | 合格後5年以上 | ||
合格後5年未満の者 | ・高等学校 ・専門学校 | 9年以上 | 10年6ヶ月以上(※1) |
その他 | 14年以上 |
(ハ)実務経験に指導監督的実務経験年数が1年以上を含み、かつ、5年以上の実務経験の後 専任の監理技術者による指導を受けた実務経験年数が2年以上ある者
学歴 | 実務経験年数 | |
指定学科 | 指定学科以外 | |
高等学校 専門学校 | 8年以上 | ― |
(二)専任の主任技術者の経験が1年(365日)以上ある者
区分 | 学 歴 | 実務経験年数 | |
指定学科 | 指定学科以外 | ||
2級合格後3年未満の者 | 短期大学・高等専門学校 専門学校を卒業し「専門士」と称する者 | ― | 7年以上 |
高等学校 専門学校 | 7年以上 | 8年6ヶ月以上 | |
その他 | 12年以上 | ||
2級土木の資格のない者 | 高等学校 | 8年以上 | 9年6ヶ月以上 |
その他 | 13年以上 |
※1:高等学校の指定学科以外を卒業した者には、高等学校卒業程度認定試験規則(平成17年文部科学省令第1号)による試験、旧大学入学試験検定規程(昭和26年文部省令第13号)による検定、旧専門学校入学者検定規程(大正13年文部省令第22号)による検定又は旧高等学校高等科入学資格試験規程(大正8年文部省令第9号)による試験に合格した者を含む。
注:上記区分イ・ロ・ハ・ニの実務経験のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていることが必要です。
1級土木施工管理技士技術検定「実地」試験受験者
(イ)(ロ)のいずれかに該当する者
イ | 当年度の1級土木施工管理技術検定・学科試験の合格者 |
ロ | 1) 前年度1級土木施工管理技術検定・学科試験に合格し、実地試験が不合格又は欠席をした者 2) 技術士法による第二次試験のうち技術部門を建設部門、上下水道部門、農業部門(選択科目を農業土木とするものに限る)、森林部門(選択科目を森林土木とするものに限る)、水産部門(選択科目を水産土木とするものに限る)又は総合技術監理部門(選択科目を建設部門若しくは上下水道部門に係るもの、「農業土木」、「森林土木」又は「水産土木」とするものに限る)に合格した者で、1級土木施工管理技術検定・学科試験の受検資格を有する者 |
2級土木施工管理技士技術検定「学科・実地」試験受験者
学歴又は資格により(イ)(ロ)のいずれかに該当する者
(イ)学歴
学 歴 | 実務経験年数 | |
指定学科 | 指定学科以外 | |
大学 | 1年以上 | 1年6ヶ月以上 |
短期大学・高等専門学校 | 2年以上 | 3年以上 |
高等学校 | 3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
その他 | 8年以上 |
※高等学校の指定学科以外を卒業した者には、高等学校卒業程度認定試験規則(平成17年文部科学省令第1号)による試験、旧大学入学試験検定規程(昭和26年文部省令第13号)による検定、旧専門学校入学者検定規程(大正13年文部省令第22号)による検定又は旧高等学校高等科入学資格試験規程(大正8年文部省令第9号)による試験に合格した者を含む。
(ロ) 学科試験のみ受験者(種別:土木のみ)
満17歳以上の者
2級土木施工管理技士技術検定「実地」試験受験者
(イ)(ロ)のいずれかに該当する者
イ)当年度の2級土木施工管理技術検定・学科試験の受験者
(ただし、「学科試験のみ受験者」を除く。)
ロ)学科試験免除者
1) | 前年度2級土木施工管理技術検定・学科試験に合格し、実地試験が不合格又は欠席をした者 |
2) | 技術士法による第二次試験のうち技術部門を建設部門、上下水道部門、農業部門(選択科目を農業土木とするものに限る)、森林部門(選択科目を森林土木とするものに限る)、水産部門(選択科目を水産土木とするものに限る)又は総合技術監理部門(選択科目を建設部門若しくは上下水道部門に係るもの、「農業土木」、「森林土木」又は「水産土木」とするものに限る)に合格した者で2級土木施工管理技術検定・学科試験の受検資格を有する者 |
3)~8)受検種別(土木)に限る
3) | 大学の指定学科を卒業見込みの者又は卒業後1年以内の者 | 卒業後4年以内に行われる連続する2回の技術検定の学科試験が免除 |
4) | 短期大学・高等専門学校(5年制)の指定学科を卒業見込みの者又は卒業後2年以内の者 | 卒業後5年以内に行われる連続する2回の技術検定の学科試験が免除 |
5) | 4)を卒業し大学の指定学科に進学し卒業した者 | 卒業後6年以内に行われる連続する2回の技術検定の学科試験が免除 |
6) | 高等学校または中等教育学校の指定学科を卒業見込みの者又は卒業後3年以内の者 | 卒業後6年以内に行われる連続する2回の技術検定の学科試験が免除 |
7) | 6)を卒業し短期大学・高等専門学校(5年制)の指定学科に進学し卒業した者 | 卒業後7年以内に行われる連続する2回の技術検定の学科試験が免除 |
8) | 6)を卒業し大学の指定学科に進学し卒業した者 | 卒業後8年以内に行われる連続する2回の技術検定の学科試験が免除 |
【出典:土木施工管理技士|建設管理センター】
土木施工管理技士の「やり甲斐」は?
無から何かを作り上げていくということ。
難工事を乗り越えて一つのものを作り上げていくこと、そこにはいつでもドラマが生まれます。
そして生まれたストーリーは、過去、いくつもの映画になりました。
きっと、あなたも見たことがあるのではないでしょうか?
2000年3月28日から2005年12月28日までNHK総合テレビのドキュメンタリー番組として放映されていた、通称「プロジェクトX」、『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』のいくつかを。
「プロジェクトX」では、様々な困難を乗り越えて無から有を作り上げていく、数々のストーリーが語られてきました。そして、そのどれもが見ている観客が、感動せずにはいられないリアルストーリーでした。
土木施工管理技士になるということは、これから実際に描かれるこれらのストーリーの立役者になるということなのです。
見ている観客が、視聴者が深く感動するストーリーに、実際に携わっている土木施工管理技士が感動しないはずはありません。
土木施工管理技士は工事中は現地のプレハブや近くの宿舎に泊まり込むことも珍しくないでしょう。
大変な仕事ですが、工事が完成した暁には、他に代えがたい感動を得られるものである事は間違いありません。
最後にネットで見つけた60歳、年収1,000~1200万円、現役・土木施工管理技士Gさんの言葉をあなたに贈ります。
【出展:【職種】土木施工管理技士が明かす仕事の本音|honne.biz】
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